昏睡屋は今日もお休み。-0.5-
あの日はとても暑かったのを覚えている。
唯一の救いだった母が病で亡くなってから、私の人生は大きく旋回していた。
私の家は父の借金や家庭内暴力で酷く目も当てられないような状況で、
それを嘲笑うかのように学校での虐めも加速していった。
目まぐるしい日々と酷い虐めに耐えられなかった私は
よくある輪っかのついたロープをぶら下げた部屋で
睡眠薬をひと瓶ほど飲んでいた。
酷かったなぁ。
クラスどころか後輩も巻き込んで私を嘲笑って。あまりの酷さに先生も見ないふり。
父から受けた暴力。全身にあるこの痣も掻き消したいし。
もう終わりにしよう。
この地獄から抜け出したところで
私の憂鬱な記憶が書き変わるわけじゃないんだから。
蝉の声が鮮明に聞こえ、茹だるような蒸し暑さと、父の死体に群がるハエの羽音も忘れて
私の意識は遠ざかっていった。
続く(かも)